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工数とは?人日・人月の基本とすぐ使える工数計算の方法までやさしく解説

「工数(こうすう)」という言葉、仕事をしていると耳にすることがありますよね。「この作業、5人日くらいかかるかな」という話を聞いても、実はあまりピンとこない人も多いのではないでしょうか。
この「工数」は、プロジェクトを効率的に進め、チームの仕事をスムーズにする上で欠かせない重要な概念です。
この記事では、「工数って何?」という基本的な疑問から、具体的な算出方法まで、実例を交えてわかりやすく解説していきます。Excelなどのツールでの計算方法も紹介しますので、「工数管理って難しそう…」と不安に感じている方も、ぜひ気軽に読んでみてください。
工数とは?
工数(こうすう)とは、ある仕事やプロジェクトを完了させるのに必要な「作業量」のことです。簡単に言えば、「この仕事にどれだけ人と時間がかかるか」を数値で表したものです。
例えば、「2人で5日かかる仕事」があるとしたら、2人×5日で**10人日(にんにち)**となります。この「10人日」が、作業全体の工数です。
工数をきちんと見積もっておくと、無理のないスケジュール立案や、必要な人員の判断、予算設定の根拠など、さまざまな場面で活用できます。
工数の単位について
工数を数値化するためにいくつかの単位が使われます。これらの単位を正しく理解することで、作業量や必要なリソースを適切に見積もることができます。プロジェクトの規模や性質に応じて、最適な単位を選びましょう。
人時(にんじ)とは?
「人時」は、1人が1時間でこなせる作業量のことです。
- 1人で1時間作業 → 1人時
- 3人で2時間作業 → 3×2=6人時
小規模な作業や短時間で終わるタスクの見積もりでよく使用されます。
人日(にんにち)とは?
「人日(にんにち)」は、1人が1日でこなせる作業量のことです。
- 1人で1日作業 → 1人日
- 2人で3日間作業 → 2×3=6人日
一般的に1日は8時間として計算します。例えば「16時間かかる作業」なら、16÷8=2人日となります。
短期間の作業やタスクごとの工数見積もりによく使われる単位です。この単位を覚えておくと、日々の仕事の見積もりや進捗管理がぐっと楽になります。
人月(にんげつ)とは?
「人月(にんげつ)」は、1人が1か月でこなせる作業量のことです。一般的に月の営業日数は21~22日程度で計算されますが、カレンダーや会社の営業日に応じて変動することがあります。
- 1人で1か月作業 → 1人月
- 4人で3か月間作業 → 4×3=12人月
中規模から大規模のプロジェクトや、長期間にわたる作業の見積もりによく使われます。特にシステム開発やウェブ制作などの大きな案件で頻繁に活用されます。
人工(にんく)とは?
「人工(にんく)」は人日と同じ意味で、主に建設業界や製造業で使われます。
- 1人で1日作業 → 1人工
- 5人で2日作業 → 5×2=10人工
日単位の労働量を示す際によく使われます。
工数を出すメリットは?
工数の管理は、プロジェクト運営やチームマネジメントに不可欠な要素です。以下では、工数が活用される主な場面を3つにまとめてご紹介します。
1. プロジェクトの計画・見積もり段階での活用
- 必要な作業量を見積もることで、現実的なスケジュールや人員計画が立てられます。
- 見積書や提案時に、作業の根拠を明確に示すことができます。
- 納期交渉や予算調整の際にも説得力あるデータとして機能します。
2. プロジェクト進行中の管理・調整に
- 実際の作業時間(実績工数)を記録・分析することで、遅延を早期に発見できます。
- メンバーごとの作業状況や負荷を可視化でき、バランスの良い人員配置が可能になります。
- タスク単位で工数の消化率を確認すれば、進捗管理の精度が高まります。
3. プロジェクト終了後の振り返り・改善に
- 見積もりと実績の差を把握することで、次回以降の見積もり精度が向上します。
- 作業にかかった時間と労力を正確に記録することで、業務の改善点を具体的に分析できます。
- 利益率の管理や不採算プロジェクトの発見にも役立ちます。
工数は単なる「作業量の目安」ではなく、プロジェクトを円滑に進めるための重要な判断材料として活用されます。工数の見える化は、計画・実行・改善のすべての段階で組織の意思決定を支える重要な情報です。「何にどれだけ時間を使っているか」をきちんと見える化することが、効率的な仕事づくりの第一歩なのです。
工数を算出してみよう
ここまでで工数の意味や使い方はつかめてきたと思います。では実際に、どのように工数を計算すればよいのか見ていきましょう。基本的な式と具体例を押さえておけば、日々の業務にもすぐに応用できます。
基本の式はこちら:
工数(人日) = 人数 × 作業日数
もしくは、
工数(人日) = 作業時間 ÷ 1人あたりの1日労働時間(たとえば8時間)
具体例:
- 3人が4日働く → 3×4=12人日
- 合計作業時間が48時間 → 48÷8=6人日
1人日を8時間としたときの例
例えば、1日8時間を1人日(1.0)とした場合、さまざまなケースに対応した工数の計算ができます。1人で作業する場合と、複数人で作業する場合の両方を見ていきましょう。
1人だけで作業した場合
- 1人が5時間作業 → 5÷8=0.625人日
- 1人が6時間作業 → 6÷8=0.75人日
複数人で作業した場合
- 2人がそれぞれ4時間作業 → 2人×4時間÷8時間=1.0人日
- 3人がそれぞれ3時間作業 → 3人×3時間÷8時間=1.125人日
- 4人が2時間ずつ作業 → 4人×2時間÷8時間=1.0人日
- 2人が異なる時間で作業(並行作業の場合):
- 1人目:2時間 → 2÷8=0.25人日
- 2人目:4時間 → 4÷8=0.5人日
- 合計工数:0.25+0.5=0.75人日
このように時間ベースで工数を計算することで、時短勤務やパート作業も正確に見積もることができます。
工数を使って報酬を計算してみよう
自分の作業がどれくらいの報酬になるのか、具体的に計算してみましょう。工数を把握しておくことで、収入の目安が明確になり、作業の効率化や時間配分の見直しにも役立ちます。実際に数字で確認することで、自分の作業の価値を再認識し、次回以降の案件の見積もりや交渉にも活用できます。
基本の計算式:
報酬金額 = 単価(1人日あたり) × 工数(人日)
例1:単純なケース
- 単価:30,000円/人日
- 工数:1人で2時間作業(2÷8=0.25人日)
- → 30,000×0.25=7,500円
例2:複数人で作業したケース
- 単価:30,000円/人日
- 作業1:1人が2時間 → 2÷8=0.25人日
- 作業2:もう1人が4時間 → 4÷8=0.5人日
- 合計工数:0.25+0.5=0.75人日
- → 30,000×0.75=22,500円
このように工数に単価をかけるだけで報酬金額を算出できます。契約内容や人材のスキルに応じて単価を調整することで、納得感のある金額設定が可能です。
Excelやスプレッドシートを使って工数を出してみよう
工数は上記の方法で手計算もできますが、電卓や頭での計算は手間がかかります。ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを使えば、簡単に工数を算出できます。
時間ベースで工数を計算する方法
例えば「人数」「作業時間(1人分)」「1日の作業時間(基準)」から工数を出す場合、以下のような表を使います:
人数 | 作業時間(1人分) | 1日の作業時間(基準) | 工数(人日) |
---|---|---|---|
1 | 5時間 | 8時間 | =(5×1)/8=0.625 |
2 | 5時間 | 8時間 | =(5×2)/8=1.25 |
3 | 6時間 | 8時間 | =(6×3)/8=2.25 |
Excelでの具体的な数式入力例
例えば、以下のような表をExcelで作成したとします:
A列:人数 | B列:作業時間(1人分) | C列:1日の作業時間 | D列:工数 |
---|---|---|---|
2 | 5 | 8 | =A2*B2/C2 |
D列のセル(例えばD2)に以下の数式を入れると、工数が計算できます:
=A2*B2/C2
この例では、「2人が5時間ずつ作業した場合の工数(人日)」を、1日8時間で割って算出しています。
上記のやり方を応用してExcelやGoogleスプレッドシートで案件管理表や業務完了報告書などで簡単に工数についての項目もまとめることができますので、ぜひ活用してみてください。
まとめ
工数管理をしっかり行うことで、プロジェクト運営の安定性と効率が大きく向上します。日々の業務で工数を意識することで、無理のないスケジュールと収益性の高い作業が実現できます。工数の考え方を身につけて、プロジェクトをスムーズに進めていきましょう!